6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(11)2011/05/03 00:48

6R-HH2を初段にしたPCL86(五極部のみ使用)のシングルアンプを、現在、エージングしています。


各部の電圧値を計測しましたので公開致します。

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上掲載回路図の電圧値は、青地が設計値で、赤字が実測値です。

ヒーター6.3Vを直列に接続して12V出ない場合は、
片方の6.3V巻線(例えば、6.3V/1A)の配線を逆にして下さい。。(汗


PCL86のヒーター電圧は、実測12.21Vですけど、
別に支障なく音が出ています。

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アンプの雰囲気は、19AQ5ヘッドフォンアンプに、初段を加えたような感じです。


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しばらくは、これで音楽を聴きながら、エージングする予定です。



6R-HH2-PCL86シングルアンプは、とりあえず中締めという事で、
次回からは、6DJ8-1626シングルアンプについて書く予定です。


1626で、ヘッドフォンアンプを製作できる!と、気が付いた時点で、
http://valvolerosso.asablo.jp/blog/2011/04/25/5824827
実は、興味はそちらの方へ傾いております。(おい)


連休中に製作しようと思い、一通りのパーツは揃えています。。。(汗



次回は、1626アンプの予定です。


(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(10)2011/05/02 20:18

6R-HH2を初段にしたPCL86シングルアンプのハンダ付けが、
やっと終了しました。


早速、各部の電圧を測定して、チェックしたところ。。。


BT-2V電源トランスのヒーター6.3V出力を、2個シリーズ(直列)接続した、12.6Vの電圧値が、0.064Vでした。。。(汗

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通常、ヒーターをシリーズ接続する場合は、位相を揃える為に、
0V-6.3V0V-6.3V と、接続するのですが、
その通りに接続したら、12.6V出力のハズが、0.064Vでした。。。(汗

完全に“ 逆位相 ”になって、しっかりと出力を打ち消しあっています。

要するに、電源トランスにプリントしてある、『 0V 』、『 6.3V 』の表記が正確でないようで、交流出力の位相が曖昧なようです。。。(大汗

まあ、慌てず騒がず、そういうものだと思って片一方のヒーター配線を、逆に接続し直せば良いだけですけど。。。


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それで、逆にハンダ付けし直したら、12.49V出ました。

ヒーター許容電流のうち半分くらいしか電流を流さないので、13Vくらいの高めに出るかと期待していたのですが、むしろ低めに出てしまいました。

まあ、電源トランスが一個¥1700円で購入できる事を思えば、
これくらいは許容範囲(?)でしょうか。。。(汗




その他の部分では特に異常がなかったので、軽くエージングしたところ、PCL86のヒーター電圧はさらに低下して(!)12.21Vになりました。


それでも、PCL86は、べつに何事もなかったかのように、
ごく普通に鳴っております。(笑)

PCL86って、12Vでも使用できるとはウワサで聞いてましたけど、
実際に、ちゃんと鳴るんですね。なんか新鮮な驚き。。。


引き続き、エージングして、経過を観察しようと思います。



あとついでに、シャーシ内部を公開致します。


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初段6R-HH2ソケット周辺のハンダ付けが、ちょっと厳しいです。。。(汗



次回は、実測した各部の電圧値を公開する予定です。

(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(9)2011/05/01 11:20

引き続き、6R-HH2/PCL86シングルアンプを製作しています。

回路図を書き直しました。。。

初段の6R-HH2のグリッドに、発振止めの抵抗を入れただけですけど。。。

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それで、その回路図を元にして、実体配線を検討します。

うーん。うーん。悩みつつ考えて、紙に書き込んでいきます。

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実体配線図を作成しながら、並行してハンダ付け作業もしています。

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ハンダ付け作業は、まだ途中ですが、この段階の写真をご覧になると、
電源の電解コンデサーのマイナス端子を起点とするアース母線と、
初段の独立電源のアースの引き回しがよく判るかもしれません。。。(汗


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それにしても、連休になったらハンダ付けがサクサク進行するかと思ったのですが、あれやこれやの雑用で、却ってペースが遅くなりました。

まあ、頭に思い描いた予定とは、得てしてそういうものですよね。。。(汗


なんとか連休中に仕上げたいと思います。


(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(8)2011/04/28 14:13

6R-HH2を初段にしたPCL86シングルアンプをハンダ付けしています。


アンプ内部のレイアウトは、E81Lヘッドフォンアンプに近いです。
CADデータを流用したので、当たり前ですが。。。(汗

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電源平滑部のレイアウトなどは、もうそのままです。。。(汗

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イメージとしては、E81Lヘッドフォンアンプに、初段を追加したような感じでしょうか???


それにしても、ハンダ付けが思ったほど進展しないので、
アンプの完成は、連休中にずれ込んでしまいそうです。。。。(汗


(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(7)2011/04/23 13:01

6R-HH2を初段にしたPCL86シングル真空管アンプを製作しています。

今までブログに掲載した真空管アンプは、すべて過去に製作したアンプですので、記事を書くのが楽でした。

ミクシィの方で日記を書いていましたので、真空管アンプの写真や、ロードラインの引き方等の説明文章はすでにありました。



今回の 6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ は、
まさに今、製作しています
ので、いろいろハプニング(!)があります。


今日も朝からアンプを製作していたのですが、実は、不具合ありました。


初段のグリッドに発振止めの抵抗を追加しようとしたのですが、
ラグ端子の数が足りません。。。(大汗



そこで、使用するラグ板を変更したり、アースラインの位置を修正したりしました。


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この部品レイアウトで、なんとかうまくいきそうです。。。(汗



通常、アース母線はφ2mm径の銅線を使用しているのですが、製作費一万円のアンプでそこまでする事はないかな?と思い、#20番手の銅線を撚ったモノをアース母線にしています。

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上掲載写真の、

左:  ホームセンターで購入した、#20番手の銅線
中央: #20銅線を撚ったモノ
右:  同じくホームセンターで購入した、φ2mm径の銅線


あと、参考までに、シャーシ加工用CAD図も掲載します。


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YM-200シャーシ表面から見た図ですので、画像ソフトを使用して、
原寸でプリントアウトすれば、シャーシ穴加工時のポンチ打ちの下絵になると思います。




次回は、ハンダ付けのご紹介をする予定です。

この週末に、ハンダ付けが終われば良いのですけど。。。(汗


(次回につづく)

6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(6)2011/04/22 11:37

前回で、6R-HH2-PCL86シングル真空管アンプの設計は終了です。
今回からは、実際の製作工程となります。

まずは、使用するパーツの紹介をします。
最初のご紹介は、主役の真空管。


初段に使う6R-HH2。

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左の2本は、東芝製。
右端は、日立製です。
右から2番目は、日立製の旧ロゴのモノです。


出力段のPCL86。

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昨年(2010年10月)に、秋葉原のサンエイで購入したEi製のPCL86です。10本で¥4,000でしたので、20本購入しました。


製作した6414-PCL86シングルアンプに挿して、プレート電流値を計測しました。

プレート電流を計測する作業をしながら、実際の現物が、
どの程度プレート電流のバラツキがあるか調査します。
この時のバラツキ具合を参考にしてプレート電流の設計を考えます。


まあ、サンプル数は20本なので、あくまで参考ですけど。。。(汗



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プレート電流値の近い物同士でペア取りします。

プッシュプルに使用できるほど厳密なgmマッチドペアではありませんが、
シングルで使用する電流値ペアでは、これで充分です。。。(汗





アンプ内部で使用するパーツ群です。

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ソケットは、QQQ製。
ボリュームは、アルプスφ16。
スピーカー端子は、一個60円の安物。
ネオンランプも、一個135円の安価なラジオ用を流用します。。。(汗



続いて、CRパーツ類です。

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電源の電解コンは、春日無線の近くの小沢商会で購入した日ケミKMG
ついでに、250V/120Vスパークキラーも購入。
パスコンは、千石ニチコンKZ
初段負荷と出力段カソード抵抗は、三栄電波の KOA SPR1C
初段カソード抵抗は、デールRN60
発信止め抵抗は、デールCMF-55に変更。
カップリングは、イエンツェンCrossCap
ダイオードは、ウルトラファーストリカバリーです。

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ある意味、裏の主役(!)のラジオ少年BT-2V電源トランス
出力トランスOUT41-357 Sタイプは、旧ロゴ品を使用します。

あと、フューズフォルダーは、千石のB1Fで売ってるミゼット・タイプを使用する予定でしたが、ラグ板と干渉する恐れがあるので、全長の短いサトーパーツ製に変更しました。。。(汗



次回は、実際の組立をご紹介する予定です。

(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(5)2011/04/21 22:30

引き続き、6R-HH2/PCL86シングルアンプの設計です。

今日は、これまで設計した内容で回路図を作成するのですけど、その前に、6R-HH2を初段にした場合の高域側ポール(ハイカットフィルーター)周波数を計算しておこうと思います。


初段の出力インピーダンスと、高域側ポール周波数の計算式は、
書籍『情熱の真空管』の、P.342に書いてあります。

 (Zo)= (rp×RL)/(rp+RL)

f4(kHz)=159000/[Zo(kΩ)×Cinput(pF)]


さらに、PCL86五極部を三結にした場合の入力容量は、
ぺるけ氏のHPによると90pF位らしいです。
http://www.op316.com/tubes/mw/mw-gw8.htm



ですので、6R-HH2でドライブした場合は、

6R-HH2 内部抵抗 → 10KΩ
負荷27KΩで、次段グリッド抵抗470KΩの場合の、
合成交流負荷 → 25.5KΩ



上記の出力インピーダンス算出式に代入すると、

 (Zo)=(10×25.5)/(10+25.5)=7.2KΩ

6R-HH2 負荷27KΩ 出力インピーダンス → 7.2KΩ

さらに、PCL86五極部を三結にした場合の入力容量を、
上記の通り90pFとすると、高域側ポール周波数 f4(kHz)は、

f4(kHz)=159000/[7.2(kΩ)×90(pF)]=245kHz

6R-HH2でドライブした場合 → 245 KHz (-3dB)

となります。




さて、本題の回路図ですけど。。。


これまで設計した内容をまとめて、回路図を作成しました。

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上掲載の回路図ですけど、
初段6R-HH2のグリッドには発振止め抵抗を入れていませんが、
6DJ8に差し替えたりするのであれば、
2K~4.7KΩ等の発振止抵抗を、必ず入れて下さい!
発振した場合、ヘッドフォンやスピーカーを壊す恐れがあります!!


まあ、なんと言いますか、6R-HH2はgmが低いので発振止め抵抗を入れなかったですけど、入れておけば良かったかな?
と、ちょっと思いました。。。(汗




それで、回路図が完成しましたら、
次は、CADでシャーシ・レイアウト(部品配置)の検討です。


タカチYM-200シャーシを、タテ方向で使用して、
アルミのヘアライン面を上面にして使用します。


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デザイン的には、19AQ5ヘッドフォンアンプみたいなイメージでしょうか?


シャーシ・レイアウト検討が終わりましたら、
実際に、ケースを加工します。


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YM-200は、板厚の薄いアルミシャーシですので、加工は容易です。



次回は、使用するパーツをご紹介する予定です。

(次回につづく)



6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(4)2011/04/21 00:50


引き続き、6R-HH2-PCL86シングル真空管アンプの設計です。

今回は、回路のゲイン配分最大出力を確認します。

これを実施しておかないとNFBを掛けたら出力段バイアスをフルスイングできなくなった!という事が起こりがちです。
私自身、何度も経験しました。。。(汗


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さて、初段の動作条件は、

プレート電圧83V、プレート電流2mA、バイアス-2V、
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗27KΩ、デカップリング抵抗12KΩ

でしたので、とりあえず、グラフが読みやすいように、
初段を±1Vスイングさせると、基準のバイアス-2Vを中心にして、
ロードライン上の、バイアス-1から-3Vまでスイングします。


その時の、電圧の変化量は、

ゼロバイアス側 → 83V-62V=21V
カットオフ側   → 100V-83V=17V

特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【17V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)

シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【17V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)


出力段のバイアスは、-5Vですので、
5Vを17Vで、割ると、5÷17V=0.294

まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.294倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗


それで、初段のゼロバイアス側【21V側】は、
21V×0.294=6.17V

となり、

NFBがかかって、初段のゲインが、0.294倍されたと想像すると。。。

出力段のゼロバイアス側は、17V×0.294 = 5V
出力段のカットオフ側は、  21V×0.294 = 6.17V

となって、初段をワザと歪ませると、出力段のバイアスを、カットオフ側に-6.17V
つまり、1.17V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。


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カットオフ側のバイアスは、5V+6.17V=11.17Vまで振り込むので、
およそバイアスを-11.2Vまでスイングさせたとすると。。。


ゼロバイアス側プレート電圧変化量ΔEpは、

155V-74V = 81V です。

それに対して、カットオフ側プレート電圧変化量ΔEpは、

通常時 → 221V-155V = 66V
オーバースイング時 → 232V-155V = 77V

判りやすくする為に、それぞれの比を取ってみると、

通常時 → 81V : 66V = 1.23 : 1
オーバースイング時 → 81V : 77V = 1.05 : 1



プレート電圧変化量ΔEpの比率は、交流波形の上下の振幅の比率ですから、すなわち二次歪みです。

1.23 : 1 → 1.05 : 1 に改善されたという事になります。

1.05 : 1ですから、歪みが5%になった!というイメージでしょうか?



また、通常の最大出力は、

221V-74V=147V
147V÷2√2=52.0V
52.0^2÷7000Ω=0.39W
計算上の出力は、0.39W ですけど、


オーパースイング時の最大出力は、

232V-74V=158V
158V÷2√2=55.9V
55.9^2÷7000Ω=0.45W

と、なって、出力段の歪みと出力が改善されて、
最大出力は、0.45W となります。


これが、いわゆる
“ シングル二段増幅における二次歪みの打ち消しテクニック ”
です。

打ち消すと言うよりも、遊び電流を活用して設計動作点を超えて、オーバー・スイングさせる(振り込ませる)イメージが近い。と思うのですけど。。。



最初に仮定した初段入力電圧の、±1Vは、ピーク値ですから、

1V÷√2=0.71Vrms(実効値)

0.294倍のNFBは、おおよそ-10.6dBですので、

入力0.71Vrms、NFB-10.6dBで、
フルパワー0.45Wというアンプになるでしょうか?

実際には、NFBを-10dBも掛けません。
あまり掛けすぎると、高域補正や、厳密な時定数の検討(スタガリング)が必要になりますので、実際には-6dB前後にする予定です。

あくまで、NFBを掛けても出力段バイアスがフルスイングできるという事を確認する訳です。



アンプ設計のゲイン配分と最大出力の検討は、こんな感じです。。。(汗

非常に簡単な説明で恐縮ですが、ご理解頂けたでしょうか???



次回は、これまで設計した内容で回路図を書きます。

(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(3)2011/04/20 00:01

今回は、初段6R-HH2のロードラインの設計です。


【初段】の設計

 初段設計の際は、以下の制約があります。

 a.デカップリング時定数は、段間の時定数よりも、充分大きいのが
   望ましい。
ただし、三段増幅と違って、シングル二段増幅は、
   初段と出力段の位相が逆で、電源発振しないのでデカップリング
   にあまり神経質になることはないと思います。
       NFB量が-6dB以下でしたら、デカップリング抵抗は、
   3K~十数KΩくらいで常識的な数値なら問題ないのでは?。。。(汗

 b.負荷抵抗は、真空管の内部抵抗よりも大きくなければならない。
   バイアスが深くなると内部抵抗は増加するので、
   通常、負荷抵抗は、動作点内部抵抗の2倍以上取るようですけど、
   rp=80KΩの12AX7の負荷が100KΩなどはよくある事なので、
   特に2倍以上と決まっている訳ではないようです。。。(汗

 c.バイアス-1V以下は、初速度電流領域なので使用しない。



負荷抵抗は6414-PCL86シングルアンプの時と同様に27KΩを想定しています。
動作点での6R-HH2の内部抵抗は10KΩ位ですので、負荷は2倍以上ある事になります。


実を言いますと、アンプを製作する度に負荷抵抗を都度買うのは面倒なので、

カスコード管/コンピューター球で、内部抵抗10KΩ位  → 負荷27KΩ
12AX7/5755/6SL7GT等 内部抵抗の大きい球  →負荷100KΩ

という具合に、とりあえず自分で決めています。
しかも、初段の負荷にはカーボン・フィルム抵抗を使用しているので、
なるべく安価な1W抵抗を購入しています。
27KΩ1W、100KΩ1W あたりを10本単位でまとめ買いしています。

ですから、私の設計では初段の負荷抵抗は上記の値が多いです。。。(汗


そんな訳ですので、27KΩ1Wで、ワッテージのディレーティングを6倍確保すると考えると、流せる電流は2~2.5mA位です。

おまけに、カソード抵抗を1KΩにすると、テスターで測ったバイアス電圧値が、そのままプレート電流値になるので、とても判りやすいので、
プレート電流 2~2.5mA、バイアス電圧 -2~2.5V
 という設計が多いです。

今回の、初段6R-HH2のロードラインも、実はそのパターンです。

ちなみに、以前記事に書いた、6922-5687シングルもそうです。。。(汗
http://valvolerosso.asablo.jp/blog/2011/03/27/5761445


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前記事の通り、6R-HH2特性の代用として、4BC8プレート特性図
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/127/4/4BC8.pdf
を使用して、

プレート電流 2mA
バイアス電圧 -2V


をプロットすると、プレート電圧は、だいたい83Vくらいでした。
その動作点から、27KΩの負荷線(ロードライン)を引いてみます



ロードラインの引き方が判らないという方もいらっしゃるので詳しく書きます。


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動作点のプレート電流値2mA(D点)に、負荷27KΩを掛けます。

2mA×27KΩ = 54V

この54Vは、負荷27KΩ抵抗の電圧降下分です。

プレート電圧83V(B点)に、負荷抵抗の電圧降下分54Vを足します。

83V+54V = 137V

この137Vが、ロードラインの起点(C点)です。
つまり、プレート電流ゼロの、グラフの横軸の値になります。


また、このロードライン起点の137Vを、27KΩで割ると、

137V÷27KΩ =  5.1mA

この、5.1mAは、プレート電圧ゼロ、グラフの縦軸の値(E点)です。

つまり、ロードラインは、(電圧、電流)とすると、

(0V、5.1mA)/(83V、2mA)/(137V、0mA)

の3点を通る事になります。


ロードラインの起点137Vに、バイアス2Vを足した、139Vは、
初段の供給電圧(Ebb)、つまりデカップリング後の電圧値となります。

デカップリング後(つまり、負荷抵抗の入り口側)の電圧値ですので、

B電圧164.1V-139V = 25.1V (←デカップリング電圧降下)

この、25.1Vを、プレート電流2mAで割れば、
デカップリング抵抗の値になります。

25.1V÷2mA = 12.55KΩ

デカップリング抵抗は、12KΩとしました。


これまでの、結果をまとめますと、

プレート電圧83V、プレート電流2mA、バイアス-2V、
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗27KΩ、デカップリング抵抗12KΩ

となります。 

デカップリング抵抗の値も充分な様ですので、この動作点に決定しました。




【電源平滑部】の設計


まず、電源トランスの出力電圧を予想します。

出力電圧については、書籍『情熱の真空管』 P.111に書いてあります。
今回の回路ですと1.23倍と仮定して、

160V×1.23 = 196.8V

出力電圧は196.8Vとしました。

また、これまでの設計から、

出力段 12.5A×2 = 25mA
初段 2mA×2 = 4mA
100KΩのブリーダーとすれば、1.64mA

ですから、回路に流れる総電流は、合計30.6mAです。


出力電圧196.8Vから、【B電圧】164.1を引いて、
回路の総電流30.6mAで割れば、電源平滑部の抵抗値が求まります。

(196.8V-164.1V)/0.0306A = 1068.6Ω

1068.6Ω÷4 = 267Ω
 
よって、電源部の抵抗は、270Ωを4個、使用します。



次回は、ゲイン配分の確認と、最大出力の計算をご紹介する予定です。

(次回につづく)


6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(2)2011/04/18 09:35

6R-HH2を初段にしたPCL86シングルアンプを設計していきます。

真空管アンプの製作費は、トランス類で決まってしまうので、
まず最初に使用するトランスを決めてしまいます。

製作費を安価にする為に、電源トランスは、ラジオ少年BT-2V
出力トランスは、春日無線OUT41-357 Sタイプとして、
それに合わせてロードラインを検討します。

ちなみに、PCL86のヒーターは、6.3Vシリーズ接続の12.6Vで点火することになります。
許容電流に対して消費電流が少ないので、ヒーター電圧は13V以上と、
普通は高めに出るはずなので、それを期待しているのですが。。。

ラジオ少年の電源トランスは、果たしてどうなるでしょうか?。。。(大汗



【出力段】の設計

BT-2Vトランス 出力電圧160V 許容電流60mA 60mA×0.64=38.4mAですので、
ブリッジ整流の場合の電源トランス許容電流は、約38mAです。
一方、OUT41-357Sタイプ出力トランスの許容電流は、15mAです。

出力トランスの許容電流が15mAですから球のバラツキを考慮すれば、
回路に流すプレート電流は12.5mAくらいでしょうか?

以上の事から、特性図にプレート電流12.5mAのラインを引いて、
電源トランスの出力電圧160Vですから、だいたい160V周辺のプレート電圧の交点付近で、ちょうどバイアス線が通る所を探します。

そうすると、
プレート電圧155V、プレート電流12.5mA、バイアス-5V、
あたりが良さそうだという事になります。

PCL86五極部の三結時内部抵抗は3KΩくらいですので、その2倍は6KΩですけど、出力トランス端子に6KΩはないので7KΩのロードラインを引いてみます。

五極部の三結特性図は、サイドコンタクト球EL3三結特性図を使用します。
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/046/e/EL3.pdf


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上記のロードラインと、ゼロバイアス線との交点のプレート電流は、
およそ24mAくらいなので、その1/2は、12mAですので、
どうやら電力効率最大の動作点と、それほど差異はないようです。

引いてみたロードラインは、ハズレではなさそう。。。(ホッ)


従って、動作基準点は、

プレート電圧155V、プレート電流12.5mA、バイアス-5V、
負荷7KΩ、カソード抵抗390Ω


とします。


出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。

プレート電圧155Vにバイアス電圧5Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧160Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。

春日製OUT41-357の出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、
330Ωですので、電圧降下は、

(プレート電流)0.0125A×(DCR)330Ω = 4.1V

160V+4.1V= 164.1V

これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。


次回は、初段のロードラインを設計しようと思います。

(次回につづく)