ライントランスの製作工程のご紹介2012/04/18 18:05

今回製作したライントランスの製作工程をご紹介します。

とりあえず、使用するパーツをご案内。。。


まずは、主役の東栄インプット・トランスです。

東栄変成器 600Ω→10KΩインプット・トランス ¥998

東栄変成器 (600Ω→10KΩ) ¥998
http://www1.tcn-catv.ne.jp/toei-trans7arc-net/6o-dhiotoransu.htm


トランスを収納するメタルケースは、タカチYMS-150を使用しました。

タカチYMS-150

サイズ的にちょっと大きいですし、鉄シャーシは加工が大変なので、このシャーシは、あまりオススメしません。。。(汗

通常ですと、加工が容易なアルミ製の、タカチUCシャーシあたりが良いのではないでしょうか???

UC11-5-8DD UC型ユニバーサルアルミサッシケース
http://www.marutsu.co.jp/shohin_24670/


秋月RCAジャック と シャント抵抗
秋月で販売している一個150円のRCAジャックとシャント抵抗


絹巻き単線ウエスタン・ケーブルと謎の青色コード
ウエスタン絹巻き単線と、謎のホスピタルグレード(?)ケーブル


シャーシアース・ラグ
バンテックで取り扱ってるシャーシアース・ラグ。
10個150円で購入できます。

ラグ端子3mmネジ用
http://www.soundparts.jp/terminal_strips/terminal_post.htm


3mmビスと菊座、ナット


それで、パーツが揃いましたら実際の組立となります。

最初にケースを加工します。


鉄シャーシの加工は大変です。。。(汗
鉄シャーシの加工は大変です。。。(汗

ケース加工が終わりましたら、RCAジャックを組み付けます。

RCAジャックを組み付けます。

秋月で販売している金メッキRCAジャックは、外側ナットを12mmのスパナで固定して、内側の二面幅部分を7mmスパナで締め付けます。

バンテックで取り扱ってるシャーシアース・ラグも取り付けます。

バンテックで取り扱ってるシャーシアース・ラグも取り付けます。

RCAジャックとアース・ラグを取り付けましたら、トランスを組み付けます。


トランスを組み付けます。

トランスを組み付ける際は、シャーシとトランスの間に必ず菊ワッシヤを入れます。

シャーシとトランスの間に必ず菊ワッシヤを入れます。

世間一般では、菊ワッシャはナットの緩み止め防止として使用するのですが、真空管アンプを製作する場合は、シャーシとトランスカバーの導通を確実にする為(!)に使用します。
ですから、シャーシとトランスの間に菊ワッシャを入れて、ワザとシャーシに食い込まして導通をしっかり取ります。

トランス・カバー(ケース)がアースから浮いていると雑音が出る場合があります。平ワッシャは省略しても良いですけど、菊ワッシャは必ず入れるようにしてください。
(後で原因不明の雑音に、頭を悩ませられる可能性が減ります。)


最初に真空管アンプキットを製作して『真空管アンプ作り』を覚えた人にとっては常識なのですが、自己流で覚えた人はこの辺の事を知らなかったりします。。。(汗


さて、組立が終わりましたら、次はハンダ付けです。


ハンダ各種


私個人は、通常、真空管アンプをハンダ付けする際は千住金属スパークル70(φ1.2mm)を使用しています。
たいへんオーソドックスなハンダですけど、なんだかんだ言って一番使い勝手が良いです。(^O^)

今回のライントランスは、ちょろっと遊びゴコロ(?)で、マイミクさまから頂いたマルチコアSAVBITを使用しようと思ったのですけど、ウエスタン・ケーブルは米国系ですので、やはり同じ米国系のKESTERにしました。


遊びゴコロから、ウエスタン絹巻き単線ケーブルと、KESTERはんだを使用。
ウエスタン絹巻き単線ケーブルと、KESTERはんだを使用。

ハンダ付けが終わりましたので試聴してみます。


E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)とライントランス ATH-A900で試聴
E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)とライントランス ATH-A900で試聴


数日間いろいろ試聴してみた感じですと、ちょっと高音がキツイような。。。

数時間聴いていると、ちょっと聴き疲れするみたいです。

ヘッドフォンのユニットとの相性がありますので、一概には言えないのですけど、私個人の機器環境ではなんとなくそんな感じです。。。(汗


それで、シャント抵抗をカーボンにすることにしました。


シャント抵抗をXiconカーボンに変更
シャント抵抗を、金属皮膜からXiconカーボン抵抗へ変更。

Xiconカーボン抵抗にしたら、高域のキツイ感じがなくなりました。
音のエッジが丸くなるというか。。。(汗

なんか音が枯れたような感じになったので、ジャズとかすごく合う。(^O^)

けど、その分、音の解像度が落ちたので、ポップスは辛いかも。。。(汗


それで、カーボン系ですけど歪み感の少ない、KOA SPR1C に変更する事にしました。


シャント抵抗を KOA SPR1C に変更する

国産カーボン・フィルム系は米国系よりも、タイト感が少ないです。

現在は、KOA SPR1C 15KΩで試聴しています。


以上の経緯で、現在は、シャント抵抗を KOA SPR1C 15KΩにして試聴しています。

まあ、何と言いますか、個人的な感触ですと、やっぱり国産カーボン系の東京光音RDとか、KOA SPRあたりが、歪み感が少なくて無難な選択かもしれません。。。(汗





そんな訳で、本日はライントランスの製作工程を簡単にご紹介しました。

ご参考になれば、幸いです。(^O^)



ライントランスに携帯プレーヤーを接続して聴いてみた2012/04/16 20:02

春日無線にお邪魔致しまして、製作したライントランスに携帯プレーヤーを接続して、実際に試聴してみました。

お借りした携帯プレーヤーは、Apple iPod classic です。

ちょろっと簡単にiPodのヘッドフォン端子にケーブルを差し込んで試聴しました。


Apple iPod classic と自作したライントランス


ライントランスを接続しない状態ですと、

Apple iPod classic → フルボリューム(MAX)
KA-20SHヘッドフォンアンプ → フルボリューム(MAX)

で、音量は適量って感じですけど、
ライントランスを接続すると、

Apple iPod classic → 70~80%ボリューム
KA-20SHヘッドフォンアンプ → フルボリューム(MAX)

で、音量は適量って感じです。

要するに、

Apple iPodの音量のバー表示100%で聴いていた曲が、4倍ライントランスを入れる事によって、音量のバー表示70~80%で聴くような使用感になります。

といったところでしょうか?

人によって適量と感じる音量に差がありますので、あくまで主観的な感想ですけど。。。(汗

それに、携帯プレーヤーの種類によって出力電圧が異なりますし、ヘッドフォンの感度によって音量は変わりますので、あくまで参考という事でお願い致します。


。。。。。


ついでに、春日無線にあった自作ライントランスを試聴してみました。


昇圧比1:1の自作ライントランス

タムラTHS-10(?) と ジャンセン錫箔オイルコン


トランスは1:1の600Ωという事ですから、たぶんタムラTHS-10(?)
オイルコンは、ジャンセン錫箔オイルコンだという事です。


昇圧比1:1の自作ライントランスを試聴中。。。


実際に試聴してみると、結構こってりした音です。
KA-20SHヘッドフォンアンプのノーマル状態の音とは明らかに違います。

なんせ、ジャンセン錫箔オイルコンだし。。。(汗
わざとオイルコンを入れて、CDプレーヤーから来る音を変えています。


出力電圧アップが目的ではなくて、CDプレーヤーの音質を変えるのを目的にしている(?)ライントランスです。

ライントランスには、こういう作り方もあるのですね。。。(汗



真空管アンプ本体を改造するよりも気軽な感じがするので、いかにも泥沼にハマりそう。。。(汗


ライントランスって、実はディープな世界だったんですねー。(^O^)


KA-20SHヘッドフォンアンプ用ライントランス回路図2012/04/13 21:02

引き続き、携帯プレーヤーで、E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)を使用する場合の昇圧比4倍ライントランスです。

ライントランスの回路図は下記のとおりです。

なお、回路図は水魚堂の回路図エディタを使用しています。
また、真空管ラジオ修復記様のパーツライブラリーも使用しております。


水魚堂の回路図エディタ
http://www.suigyodo.com/online/schsoft.htm

真空管ラジオ修復記 真空管ラジオ用のパーツライブラリー
http://www.k2.dion.ne.jp/~jm7ock/radio/DOWNLOAD.HTM



E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)用 昇圧比4倍ライントランス回路図
昇圧比4倍ライントランス 回路図 


インプット・トランスの入力と出力に、それぞれRCAジャックを繋げた単純な回路です。
ネット上をググるとアースが分離している回路もあるのですが、今回はアースを繋げて製作してみました。

東栄変成器のトランスは、バンド型タイプでコアが剥き出しですから、アースから浮かしたらそれこそ雑音が出そうな気がしましたので、入出力をがっちりとシャーシに落としました。
入出力をシャーシ・アースしますとシャーシを通じてアースが繋がりますので、結果的かつ自動的に、入出力のアースは繋がってしまいます。。。(汗



また、トランスのセカンダリ端子(二次側)には、シャント抵抗を必ず付けます。シャント抵抗を入れないとインピーダンス・マッチングが取れなくなる可能性があります。

シャント抵抗は、二次側インピーダンスの値(10KΩ)よりも、ちょっと大きな値の抵抗を入れるそうです。

今回は、15KΩくらいを入れてみました。


なぜ、ちょっと大きな抵抗を入れるかというと、ライントランスのアウトプットに接続するオーディオ機器(この場合は真空管アンプ)の入力側に入ってる抵抗が、シャント抵抗に並列に接続されて合成抵抗値が下がる為です。


シャント抵抗と合成抵抗値
シャント抵抗と合成抵抗値


上掲載の図を見て頂くと判りますが、ライントランスのアウトプットに接続する真空管アンプの入力側には、ボリュームとグリッド・リーク抵抗が入っています。

E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)の場合ですと、ボリュームとグリッド・リーク抵抗の合成抵抗値は、82.5KΩになります。
この82.5KΩが、シャント抵抗15KΩに並列接続される事になりますので、最終的な合成抵抗値は、12.7KΩとなります。

もし、シャント抵抗15KΩがないとすると、真空管アンプの入力側の抵抗82.5KΩで受ける事になりますので、インピーダンス・マッチングが取れなくなって、トランスの性能が出なくなるかもしれません。


実は、正直に告白しますと。。。


私は今までライントランスを製作した事がなく(!)、今回初めて製作しました。。。(汗

私個人は、通常、CDプレーヤーからダイレクト入力で真空管アンプを使用するので、ライントランスを使用する必要性がなくて製作する理由が全くなかった(!)のです。


それで、今回、ライントランスを製作するにあたり、自作経験のある方から貴重なご助言を頂いたのですけど、シャント抵抗の値を幾つにするか?がライントランス制作の勘所で、設計者のノウハウが出る所らしいです。。。(大汗

各人おのおの、カットアンドトライの試聴と周波数特性の測定で、シャント抵抗値を決めているらしいです。。。(滝汗



ですから、いちおう15KΩくらいと書きましたけど、この値は試行錯誤の後に変更になるかもしれません。

まあ、試聴した感じですと問題ないと思うのですが。。。


ライントランスって、実はかな~り奥深~い世界で、もしかしたら一筋縄ではいかないアイテムで、とんでもない事をブログに書いてしまったかな?と、実は戦々恐々しているテツさんでありました。。。(汗


( なんじゃそりゃ。。。(^_^; )



次回は、ライントランス製作風景をご紹介する予定です。

(次回につづく)


携帯プレーヤー出力電圧アップの昇圧ライントランス2012/04/12 12:04

マイミクさまが、マランツDLT-1の事についてミクシィ日記に書かれていました。


マランツ DLT-1
マランツDLT-1 (写真はネット上から拾ってきました。。。)


マランツDLT-1は、CDプレーヤーとアンプの間に入れる昇圧用トランスです。CDプレーヤーの出力電圧を1.3倍にします。

かなり昔の機種ですので、もちろん絶版品です。

けど、中古品がオークションで取引されているそうです。
マイミクさまによると、現在は7千円台に落ちてますけど、16,000円前後で即決することもあるそうです。。。(汗

 
それで、その記事に触発されたテツさんは、携帯プレーヤーでKA-20SHヘッドフォンアンプを使用するための、昇圧ライントランスを製作してみる事にしました。


製作したライントランスは、東栄変成器の600Ω→10KΩのインプット・トランスを使用しているので、昇圧比は『4倍』です。


東栄変成器 10KΩ→600Ωのインプット・トランス
東栄変成器 600Ω→10KΩのインプット・トランス


600Ω→10KΩの仕様ですと、タムラトランスのTK-20と同じです。
けど、タムラよりかは遥かに値段が安く、一個998円です。

ですから、製作費は2千円+シャーシ代+RCAピンプラグ代金で、おおよそ4千円前後だと思います。



ちなみに、各社のトランスをまとめますと。。。

サンスイ ST-75 (10KΩ→600Ω) 逆接使用 ¥560
http://www.hashimoto-trans.co.jp/frame/stcat.pdf

東栄変成器 (600Ω→10KΩ) ¥998
http://www1.tcn-catv.ne.jp/toei-trans7arc-net/6o-dhiotoransu.htm

タムラトランス TK-20 (600Ω→10KΩ) ¥10,266
http://www.tamura-ss.co.jp/electronics/trance03/pdf/audio_tdp_td_tk.pdf
http://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=751

ノグチトランス ファインメット (600Ω→10KΩ) ¥34,800
http://noguchi-trans.co.jp/index.php?main_page=product_info&cPath=112_253_258&products_id=4318


まあ、なんといいますか、ご予算に応じて、それぞれのトランスを選定して下さい!って感じでしょうか???


残念ですけど、春日無線にはこの仕様のトランスありません。。。(滝汗



それで実際の製作ですけど。。。



使用するシャーシは、普段使用している真空管アンプとデザインを揃える為(?)に、ステンレス・シャーシYMS-150にしました。
サイズ的にちょっと大きいですし、鉄シャーシは加工が大変なので、このシャーシは、あまりオススメしません。。。(汗


タカチYMS-150とウエスタン絹巻き単線にて製作
ライントランス内部 ウエスタン絹巻き単線(!)を使用


おまけに、内部の配線は『 ウエスタン 絹巻き 単線 』(!)を使用しています。。。(大汗


。。。。。


製作が完了したライントランスをCDプレーヤーに接続してヘッドフォンで聴きながらこの記事を書いていますけど、音質的にはまったく問題ないようです。(^O^)

ただ、私は携帯プレーヤーを持っていないので、実際に携帯プレーヤーで使用した時の使用感がよく判りません。すみません。。。(汗

( それでいいのか、おい。。。(^_^; )


まあでも、出力電圧が4倍になりますから電圧的には問題ないハズで、あとは、ライントランスを接続した時の実際の音質(!)が問題だと私個人は考えたのですけど。。。(汗

えーと。

今度、春日無線の店頭に持ち込んで、携帯プレーヤーをお借りして、実際に使用感を確認してみます。
この件は、いちおう春日無線に話は通してあります。
いやほらトランスが他社製(!)なんで、ちょっと気を遣ってたり。。。(汗

すみません。。。(大汗


E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)とライントランス ATH-A900で試聴
E81Lヘッドフォンアンプ(KA-20SH)とライントランス ATH-A900で試聴


いちおう、KA-20SH用という触れ込みですけど、もちろんKA-10SHヘッドフォンアンプでも使用できます。
といいますか、単なる4倍昇圧ライントランスですので、オーディオ機器全般に使用できます。(^O^)

とりあえず簡単に、携帯プレーヤーの出力電圧をアップさせたい時に便利かもしれません。

あと、真空管アンプの内部配線にウエスタンエレクトリック・ケーブル等を使用すると、後でノーマル状態に戻すのがとても大変です。。(汗
ですから、真空管アンプはノーマル状態で製作して、外付けのライントランスにウエスタン・ケーブルとか使用して遊ぶのが面白いかもしれません。

ライントランスは、ほんの数センチしかケーブルを使用しないので、高価なケーブルを使用しても、改造費はたった数百円です。
高価な真空管よりぜんぜん安いです。。。(汗
おまけに、部品点数とハンダ付け箇所が少ないですから、いろいろ改造するのがとても楽です。(^O^)

ケーブルで音が変わる!と言うとオカルト扱いされそうですけど、数百円で遊ぶくらいでしたら、ぜんぜんOKなのではないでしょうか???
19AQ5ヘッドフォンアンプの頃は、みんなそれで遊んでいました。

私は、ウエスタンのケーブルは19AQ5ヘッドフォンアンプの頃から春日無線の店頭で売ってるヤツを使用しましたけどヤフオクで通販できます。




次回は、実際の製作と回路図をご紹介する予定です。


(次回につづく)





2012.04.13 追記

東栄のトランスの仕様は、600Ω→10KΩみたいです。

カタログを見たら間違えました。。。(汗

P:ZS/0-CT-10KΩ / S:ZP/0-CT-600Ω  ←この表記がおかしい。
DCR  P:32Ω S:0.69KΩ

P → プライマリ(一次側)
S → セカンダリ(二次側)

なんですけど、P:ZS  S:ZP という表記が、
そもそも変だという事に、今更ながら気がつきました。。。(汗