NEW 6DJ8-1626シングル真空管アンプ (2)2011/10/30 15:33

6DJ8を初段にした1626シングルアンプを設計していきます。

製作費を安価にする為に、電源トランスは、ラジオ少年 T-2V
出力トランスは、春日無線OUT41-357 として、
それに合わせてロードラインを検討します。


【出力段】の設計

T-2Vトランス 出力電圧220V 許容電流70mA 70mA×0.64=44.8mAですので、
ブリッジ整流の場合の電源トランス許容電流は、約45mAです。

一方、OUT41-357出力トランスの許容電流は、20mAです。

出力トランスの許容電流が20mAですから球のバラツキを考慮して、
回路に流すプレート電流は17.5mAくらいとしました。


また、前回製作したアンプの初段6DJ8の動作条件を参照すると、
http://valvolerosso.asablo.jp/blog/2011/05/12/5859793
片側ピークで50Vpeak(100Vp-p)くらいはゲインが取れそうです。

前回制作した1626アンプの初段6DJ8ロードライン


-6dBのNFBを掛けると想定しておくと、-6dBは0.5倍ですので、

50V×0.5= 25V

従って、-6dBのNFBを掛けたとしても、出力段1626イアスを-25Vあたりまではスイングできそうだなと予想します。



以上の事から、1626特性図にプレート電流17.5mAのラインを引いて、バイアス-25Vあたりのバイアス線の交点を探してみます。
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/049/1/1626.pdf



特性図の目盛りがおおざっぱでプレート電圧が判りにくいですけど、
とりあえず、バイアス-26V、プレート電流17.5mAの交点をプロットしてみます。交点はおおよそプレート電圧195Vくらいのようです。


1626の動作点内部抵抗は3.5KΩくらいですので、その2倍は7KΩですので、7KΩのロードラインを引いてみます。


NEW 1626シングルアンプ 1626ロードライン


上記のロードラインと、ゼロバイアス線との交点のプレート電流は、およそ31mAくらいなので、その1/2は、15.5mAですので、どうやら
電力効率最大の動作点よりも若干プレート電流が多い動作点のようです。

けど、これ以上バイアスは深くできませんし、電力効率最大の動作点よりもプレート電流を多く取ると出力は減りますけど二次歪みは改善されますので、とりあえずこの動作点に決定しました。


従って、動作基準点は、

プレート電圧195V、プレート電流17.5mA、バイアス-26V、
負荷7KΩ、カソード抵抗1.5KΩ


とします。



さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。

プレート電圧195Vにバイアス電圧26Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧221Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。

春日製OUT41-357の出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、
330Ωですので、電圧降下は、

(プレート電流)0.0175A×(DCR)330Ω = 約5.8V

221V+5.8V= 226.8V

これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。




次回は、初段のロードラインを設計しようと思います。


(次回につづく)


NEW 6DJ8-1626シングル真空管アンプ (3)2011/10/30 20:13

今回は、初段6DJ8のロードラインの設計です。


【初段】の設計

 初段設計の際は、以下の制約があります。

 a.デカップリング時定数は、段間の時定数よりも、充分大きいのが
   望ましい。

       NFB量が-6dB以下でしたら、とりあえず、
   デカップリング抵抗10KΩくらい、コンデンサ-が33~47μFなら
   時定数は、0.33~0.47で段間の時定数の10倍ほどになります
   ので、このあたりの常識的な数値なら問題ないのでは?。。。(汗

 b.負荷抵抗は、真空管の内部抵抗よりも大きくなければならない。
   
 c.バイアス-1V以下は、初速度電流領域なので使用しない。



前回製作した1626アンプの初段6DJ8の動作条件を参照します。http://valvolerosso.asablo.jp/blog/2011/05/12/5859793

前回製作したアンプの初段6DJ8の動作条件(↓)
前回制作した1626アンプの初段6DJ8ロードライン



なるべくゲインが欲しい!ので以下の点を改善しました。


①プレート電流をちょびっと増やしてロードラインを上に持ち上げて、ロードライン上の振幅幅を広く取れるようにします。

②B電圧アップの恩恵でロードライン起点を高電圧側に移動できるので、負荷抵抗を大きくしてゲインを増やします。

カソード抵抗を1KΩにすると、テスターで測ったバイアス電圧値が、そのままプレート電流値になるので、とても判りやすいので、カソード抵抗は、やっぱり1KΩにしたいところです。



上記のような事を頭の中で考えて、実際にロードラインを引いてみます。

http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/030/e/E88CC.pdf
( ↑ 6922フィリップス規格 全36ページPDFファイルで重いです。 )

NEW 1626シングルアンプ 6DJ8ロードライン


プレート電圧101V、プレート電流3mA、バイアス-3V、
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗33KΩ、デカップリング抵抗8.2KΩ


初段動作は、上記の動作点に決定しました。


入力電圧を、2Vpeak(=1.41Vrms)に想定していますので、かなり強引な設計です。
6DJ8で、なんとかゲインを取ろうという苦労が偲ばれます。。。(汗
まあ、6DJ8でドライブするのですから、このあたりはしょうがないです。





【電源平滑部】の設計


まず、電源トランスT-2Vの出力電圧を予想します。

出力電圧については、書籍『情熱の真空管』 P.111に書いてあります。
今回の回路ですと1.23倍と仮定して、

220V×1.23 = 270.6V  約271


また、これまでの設計から、

出力段 17.5mA×2 = 35mA
初段 3mA×2 = 6mA
270KΩのブリーダーとすれば、0.84mA

とすると、回路に流れる総電流は、合計41.84mAです。


出力電圧271Vから、【B電圧】226.8を引いて、
回路の総電流41.84mAで割れば電源平滑部の抵抗値が求まります。

(271V-226.8V)/0.04184A = 1056Ω

1056Ω÷4 = 264Ω
 
よって、電源部の抵抗は、270Ω3W を4個、使用します。



次回は、ゲイン配分の確認と、最大出力の計算をご紹介する予定です。

(次回につづく)