令和の時代に貴重な2A3を最大出力3.5Wで使う豪気さは私にはないので最大プレート損失15Wの45%で使います ― 2025/02/11 15:10
表題の通り、今となってはとても貴重になった直熱管を最大出力で使うのは、テツさん、もったいなくてできません。。。(汗
プレート損失を抑えれば、寿命は延びるので。。。
出力をワザと落として出力段バイアスを小さくし、双三極管一本でドライブすると同時に、トランス・センタータップ交流点火にしてヒーター配線を簡素化した、簡単&コンパクト版 1.5W出力 2A3シングルを製作する予定です。
設計については、
簡単&コンパクト版 1.5W出力 2A3シングルについて
をご参照ください。
あと、後述しますが、10Wタイプ出力トランスをオークションで落札してしまったので、上リンク先の設計とは若干異なってしまいました。(出力トランス一次側直流抵抗DCRが、178→322Ωとなった為、B電圧を変更)
動作点は、170V 40mA バイアス-28V プレート損失6.8W となります。
秋葉原の奥澤で特注した2mm厚、270mm幅の真空管アンプシャーシ
タカチUS-260(廃品種)に類似したシャーシを、秋葉原の奥澤にて制作して貰ったシャーシです。
春日無線 特注 H22-09033 センタータップ交流点火用2A3電源トランス
直熱管の交流点火ですのでヘッドフォンは使用できなくてスピーカー専用ですけど、2A3アンプ用の電源トランスにしてはおそろしく小さいコンパクトな電源トランスです。
春日無線 特注電源/パワートランス O-BS100型
https://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=301
https://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=301
なお、トランスの巻き線はターン数で決まるので、正確なセンター出し(センタータップ)ができます。
あと、ついオークションで出力トランスを落札してしまった。。。(汗
ヤフーオークション : 【外観訳あり・未使用】真空管用シングル出力トランス(3.5kΩ:4Ω/8Ω 10W Audio向け方向性珪素鋼板コア採用)2個1セット(2)
オリエントコアでペアで7000円スタートかよ。安いじゃん!と思いつい上記のトランスを落札してしまいました。
簡単&コンパクト版 1.5W出力 2A3シングル レイアウト検討中。。。
。。。。。
えーと。
シャーシと電源トランスと出力トランスの3種で、真空管アンプの規模というかスタイルは、ほぼ決まっちゃいますよね。。。(汗
本日のブログは、ここまで。
次回は、実際の2A3アンプ設計編の予定です。
6N3PE-2A3シングルアンプの設計手順の紹介。2A3出力特性図(Ep-Ip図)6N3PEと12AX7のEp-Ip図があります。 ― 2025/02/16 18:06
本日のブログは、2A3シングルアンプの設計についてです。
前回のブログで、10Wタイプ出力トランスをオークションで落札してしまったので、以前の設計とは若干異なってしまった。と書きました。
出力トランス一次側直流抵抗DCRが、178Ω→322Ωとなった為、出力トランスでの電圧降下が大きいので、プレート電圧を下げる必要があります。
従って、動作点は、180V 42mA バイアス-30V プレート損失7.6W から、
170V 40mA バイアス-28V プレート損失6.8W となります。
【出力段】の設計
動作基準点を、プレート電圧170V、プレート電流40mA、バイアス-28V、負荷3.5KΩ、カソード抵抗700Ω
とします。
とします。
2A3 出力段 ロードライン検討
さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。
プレート電圧170Vにバイアス電圧28Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧198Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。
オークションで落札した出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、322Ωですので、電圧降下は、
(プレート電流)0.040A×(DCR)322Ω = 約12.9V
198V+12.9V= およそ211V
これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。
さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。
プレート電圧170Vにバイアス電圧28Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧198Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。
オークションで落札した出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、322Ωですので、電圧降下は、
(プレート電流)0.040A×(DCR)322Ω = 約12.9V
198V+12.9V= およそ211V
これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。
【初段】の設計
B電圧が求まりましたので、次は初段の設計です。
初段は、12AX7(6N2P-EV)を予定していましたが、後述するように6N3P-Eにへ変更します。
まずは、12AX7から。。。
2A3シングル用 12AX7 初段ロードライン
【B電圧】211Vから数ボルト引いた200V近辺から、負荷抵抗150Kのロードラインを引いてみます。
プレート電圧142.5V、プレート電流0.4mA、バイアス-1.5V、
カソード抵抗3.6KΩ、負荷抵抗150KΩ、デカップリング抵抗22KΩ
【B電圧】211Vから数ボルト引いた200V近辺から、負荷抵抗150Kのロードラインを引いてみます。
プレート電圧142.5V、プレート電流0.4mA、バイアス-1.5V、
カソード抵抗3.6KΩ、負荷抵抗150KΩ、デカップリング抵抗22KΩ
ところで、入力容量が大きい2A3を出力インピーダンスの高い12AX7でドライブすると、ハイ落ち(ミラー効果)します。
計算すると、高域側ポールは、40.5KHz(-3dB)となるようです。
私のアンプ設計マニュアル 低域の設計・高域の設計
初段を、A2134アンプでも採用した6N3PEに変更すると、高域側ポールは、244KHz(-3dB)となり、高域側が6倍以上拡大します。
2A3シングル用 6N3PE 初段ロードライン
プレート電圧126V、プレート電流2.5mA、バイアス-2.5V、
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗29KΩ、デカップリング抵抗3.9KΩ
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗29KΩ、デカップリング抵抗3.9KΩ
ここで、負荷抵抗29KΩとなっていますが、これは誤植ではなく29KΩで間違いありません。
ていうか、この部分にはアーレンブラッドレー27KΩ2Wを採用する予定なのですが、このアーレンブラッドレー・カーボンコンポジション抵抗が経年変化で抵抗値が増加して29KΩ2Wとなっている為の実測値です。
オールド・ストック・ビンテージ抵抗あるあるです。。。(汗
なお、入力電圧を、1.75Vpeak(=1.24Vrms)に想定していますので、かなり強引な設計です。
CDプレーヤーの2Vrms出力想定の電圧なので、携帯プレーヤー等をソースに使用する場合は、ライン昇圧トランスが必須になるでしょう。
【電源平滑部】の設計
これまでの設計から、
出力段 40mA×2 = 80mA
初段 2.5mA×2 = 5mA
270KΩのブリーダーとすれば、0.8mA
とすると、回路に流れる総電流は、合計85.8mAです。
【電源平滑部】の設計
これまでの設計から、
出力段 40mA×2 = 80mA
初段 2.5mA×2 = 5mA
270KΩのブリーダーとすれば、0.8mA
とすると、回路に流れる総電流は、合計85.8mAです。
電源トランス180V×1.3倍 =234V
電源トランス出力電圧234Vから、【B電圧】211Vを引いて、
回路の総電流85.8mAで割れば電源平滑部の抵抗値が求まります。
(234V-2113V)/0.0858A = 273Ω
回路の総電流85.8mAで割れば電源平滑部の抵抗値が求まります。
(234V-2113V)/0.0858A = 273Ω
273Ω-97Ω =176Ω
よって、電源部の抵抗は、チョーク2H100mA(97Ω)と、180Ω~200Ω10W を一個使用します。
【回路のゲイン配分と最大出力】を最後に確認します。
これを実施しておかないとNFBを掛けたら出力段バイアスをフルスイングできなくなった!という事が起こりがちです。
私自身、何度も経験しました。。。(汗
さて、初段の動作条件は、
2A3シングル用 6N3PE 初段ロードライン
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗29KΩ、デカップリング抵抗3.9KΩ
初段を±1.75Vスイングさせると、基準のバイアス-2.5Vを中心にして、
ロードライン上の、バイアス-0.75Vから-4.25Vまでスイングします。
その時の、電圧の変化量は、
ゼロバイアス側 → 126V-82V=44V
カットオフ側 → 157V-126V=31V
特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【31V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)
シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【31V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)
出力段のバイアスは、-28Vですので、
28Vを31Vで、割ると、28÷31V=0.903
まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.903倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗
それで、初段のゼロバイアス側【44V側】は、
44V×0.903=39.7V
となり、
NFBがかかって、初段のゲインが、0.903倍されたと想像すると。。。
出力段のゼロバイアス側は、31V×0903=28V
出力段のカットオフ側は、 44V×0.903=39.7V
となって、初段をワザと歪ませると出力段のバイアスをカットオフ側に-39.7V。
つまり、11.7V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。
ロードライン上の、バイアス-0.75Vから-4.25Vまでスイングします。
その時の、電圧の変化量は、
ゼロバイアス側 → 126V-82V=44V
カットオフ側 → 157V-126V=31V
特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【31V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)
シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【31V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)
出力段のバイアスは、-28Vですので、
28Vを31Vで、割ると、28÷31V=0.903
まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.903倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗
それで、初段のゼロバイアス側【44V側】は、
44V×0.903=39.7V
となり、
NFBがかかって、初段のゲインが、0.903倍されたと想像すると。。。
出力段のゼロバイアス側は、31V×0903=28V
出力段のカットオフ側は、 44V×0.903=39.7V
となって、初段をワザと歪ませると出力段のバイアスをカットオフ側に-39.7V。
つまり、11.7V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。
2A3 出力段 ロードライン検討
カットオフ側のバイアスは、28V+39.7V=67.7Vまで振り込むので、
およそバイアスを -67.7V までスイングさせたとすると。。。
ゼロバイアス側のプレート電圧変化量ΔEpは、
170V - 72V = 98V です。
それに対して、カットオフ側のプレート電圧変化量ΔEpは、
通常時 → 255V - 170V = 85V
オーバースイング時 → 280V - 170V = 110V
オーパースイング時の最大出力は、
280V-72V=208V
208V÷2√2=73.5V
73.5^2÷3500Ω=1.55W
と、なって、出力段の歪みと出力が改善されて、
最大出力は、1.55W となります。
なお、ゲインの0.903倍は、-0.9dBとなるので、
入力電圧1.75Vpeak(=1.24Vrms)時、NFB=-0.9dBでフルパワー1.55Wのアンプになります。
以上が2A3アンプの設計になります。
これまでの事をまとめて回路図にすると。。。
6N3PE-2A3シングルアンプ 回路図
本日のブログは以上となります。
次回から、製作編になります。
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