6N3PE-A2134-6X4シングルアンプの設計手順の紹介。A2134の三結特性図(Ep-Ip図)と6N3PEのEp-Ip図があり。 ― 2025/01/04 20:20
さて、年末年始に電源トランスと出力トランスを使用した通常の真空管アンプを製作しようとした訳ですが。。。
復帰後、第一弾アンプは果たして何にするか?
やっぱり一番良い音がするアンプでしょ!
。。。という事で、A2134アンプとなりました。
今まで私が製作した真空管アンプの中で一番良い音でした、A2134は。
実は、当ブログを始める2011年の2年前の2009年に、A2134シングルアンプをすでに一度製作しているのでした。
この A2134シングルアンプ は手作りアンプの会の定例会に持ち込みました。
つまり、今回のアンプは、セルフ・リファイン・バージョンなのでした。
リファイン・ガンダム・ゼータが、リ・ガズィ。
リファイン・GEC・A2134 ならばさしずめ リ・ジエー。といった所でしょうか?
( なんじゃそりゃ。。。ディジェかよ。。。(^_^; )
ちなみに、さっそくA2134三結特性図の話をしますが、最初にお断りしておきますが、A2134の実力をまったく発揮していない動作点になっています。
A2134は三結にすると内部抵抗835Ωという、あなたは2A3ですか!?というビックリな素養を持っているので、NEC 6R-A8ペアを数万円出して買うのバカらしくなるほどの球です。
そんな宝のような球を、プレート電流22mA、負荷抵抗7KΩという美味しいところを全く使用していない動作点なので、回路をコピーするのはテツさんオススメしません。
【出力段】の設計
電源トランスと整流管6X4の実力を考慮すると、回路全体の許容電流は50mAといったところです。
初段に 2mA×2 ほど
ブリーダーに 1mA
とするので、片チャンネルA2134の許容電流は、22mAとしました。
A2134三結特性図にプレート電流22mAのラインを引いて、バイアス-10Vから-16Vあたりのバイアス線の交点を探してみます。
とりあえず、バイアス-14V、プレート電流22mAの交点をプロットしてみます。交点はプレート電圧159Vのようです。
使用する出力トランスは、ゼネラルトランスのPMF-5WS-TBですので、7KΩのロードラインを引いてみます。
オリエントコアが、PMF-5WSしかないんですよね。。。
A2134 三結特性図 ロードライン検討
従って、動作基準点は、
プレート電圧159V、プレート電流22mA、バイアス-14V、負荷7KΩ、カソード抵抗620Ω
とします。
さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。
プレート電圧159Vにバイアス電圧14Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧173Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。
ゼネラルトランスのPMF-5WS-TBの出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、286Ωですので、電圧降下は、
(プレート電流)0.022A×(DCR)286Ω = 約6.3V
173V+6.3V= 179.3V
これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。
従って、動作基準点は、
プレート電圧159V、プレート電流22mA、バイアス-14V、負荷7KΩ、カソード抵抗620Ω
とします。
さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。
プレート電圧159Vにバイアス電圧14Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧173Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。
ゼネラルトランスのPMF-5WS-TBの出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、286Ωですので、電圧降下は、
(プレート電流)0.022A×(DCR)286Ω = 約6.3V
173V+6.3V= 179.3V
これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。
【初段】の設計
B電圧が求まりましたので、次は初段の設計です。
2009年版 A2134の初段は、ファイブスターと同一プレート構造(ブラックプレート)のGE6201(12AT7)でした。。。
そりゃあ、音が良いハズだよなー。
トリプルマイカ、ブラックプレート、GE6201(12AT7)って、今いくらするんだ?
いきなり敷居が高ぇ。。。
まあ、なんつーか、結局の所、私個人的に音が良いと思っている 6N3P-E を初段に採用しました。
2C51/396A/5670同等管です。ロシア球には珍しいブラックプレートなんですよね、この球。
ちなみに、6N3P-I、6N3P-DR、については音を聴いたことがないので知りません。。。(汗
A2134シングル用 6N3PE初段ロードライン
【B電圧】179.3Vから数ボルト引いた170V辺りから、実際は167V から負荷抵抗27Kのロードラインを引いてみます。
プレート電圧118V、プレート電流1.8mA、バイアス-2.5V、
カソード抵抗1.3KΩ、負荷抵抗27KΩ、デカップリング抵抗5.6KΩ
入力電圧を、1.75Vpeak(=1.24Vrms)に想定していますので、かなり強引な設計です。
CDプレーヤーの2Vrms出力想定の電圧なので、携帯プレーヤー等をソースに使用する場合は、ライン昇圧トランスが必須になるでしょう。
【電源平滑部】の設計
これまでの設計から、
出力段 22mA×2 = 44mA
初段 1.8mA×2 = 3.6mA
180KΩのブリーダーとすれば、1mA
とすると、回路に流れる総電流は、合計48.6mAです。
【電源平滑部】の設計
これまでの設計から、
出力段 22mA×2 = 44mA
初段 1.8mA×2 = 3.6mA
180KΩのブリーダーとすれば、1mA
とすると、回路に流れる総電流は、合計48.6mAです。
6X4 出力電圧特性図
トロイダル電源トランス出力電圧230V、電流値48.6mAをグラフ上にプロットして、6X4出力電圧を読み取ります。
出力電圧は、240Vのようです。
6X4出力電圧240Vから、【B電圧】179.3Vを引いて、
回路の総電流48.6mAで割れば電源平滑部の抵抗値が求まります。
(240V-179.3V)/0.0486A = 1249Ω
よって、電源部の抵抗は、300Ω5W を4個、51Ω1Wを一個使用します。
【回路のゲイン配分と最大出力】を最後に確認します。
これを実施しておかないとNFBを掛けたら出力段バイアスをフルスイングできなくなった!という事が起こりがちです。
私自身、何度も経験しました。。。(汗
さて、初段の動作条件は、
A2134シングル用 6N3PE初段ロードライン
カソード抵抗1.3KΩ、負荷抵抗27KΩ、デカップリング抵抗5.6KΩ
初段を±1.75Vスイングさせると、基準のバイアス-2.5Vを中心にして、
ロードライン上の、バイアス-0.75Vから-4.25Vまでスイングします。
その時の、電圧の変化量は、
ゼロバイアス側 → 118V-78V=40V
カットオフ側 → 144V-118V=26V
特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【26V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)
シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【26V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)
出力段のバイアスは、-14Vですので、
14Vを26Vで、割ると、14÷26V=0.54
まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.54倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗
それで、初段のゼロバイアス側【40V側】は、
40V×0.54=21.6V
となり、
NFBがかかって、初段のゲインが、0.54倍されたと想像すると。。。
出力段のゼロバイアス側は、26V×0.54=14V
出力段のカットオフ側は、 40V×0.54=21.6V
となって、初段をワザと歪ませると出力段のバイアスをカットオフ側に-21.6V。
つまり、7.6V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。
ロードライン上の、バイアス-0.75Vから-4.25Vまでスイングします。
その時の、電圧の変化量は、
ゼロバイアス側 → 118V-78V=40V
カットオフ側 → 144V-118V=26V
特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【26V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)
シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【26V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)
出力段のバイアスは、-14Vですので、
14Vを26Vで、割ると、14÷26V=0.54
まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.54倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗
それで、初段のゼロバイアス側【40V側】は、
40V×0.54=21.6V
となり、
NFBがかかって、初段のゲインが、0.54倍されたと想像すると。。。
出力段のゼロバイアス側は、26V×0.54=14V
出力段のカットオフ側は、 40V×0.54=21.6V
となって、初段をワザと歪ませると出力段のバイアスをカットオフ側に-21.6V。
つまり、7.6V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。
A2134 三結特性図 ロードライン検討
カットオフ側のバイアスは、14V+21.6V=35.6Vまで振り込むので、
およそバイアスを -35.6V までスイングさせたとすると。。。
ゼロバイアス側のプレート電圧変化量ΔEpは、
159V - 51V = 108V です。
それに対して、カットオフ側のプレート電圧変化量ΔEpは、
通常時 → 224V - 159V = 65V
オーバースイング時 → 282V - 159V = 123V
カットオフ側のバイアスは、14V+21.6V=35.6Vまで振り込むので、
およそバイアスを -35.6V までスイングさせたとすると。。。
ゼロバイアス側のプレート電圧変化量ΔEpは、
159V - 51V = 108V です。
それに対して、カットオフ側のプレート電圧変化量ΔEpは、
通常時 → 224V - 159V = 65V
オーバースイング時 → 282V - 159V = 123V
また、通常の最大出力は、
224V-51V=173V
173V÷2√2=61.2V
61.2^2÷7000Ω=54W
計算上の出力は、0.54W ですけど、
オーパースイング時の最大出力は、
282V-51V=231V
231V÷2√2=81.7V
81.7^2÷7000Ω=0.95W
と、なって、出力段の歪みと出力が改善されて、
最大出力は、0.95W となります。
なお、ゲインの0.54倍は、-5.4dBとなるので、
入力電圧1.75Vpeak(=1.24Vrms)時、NFB=-5.4dBでフルパワー0.95Wのアンプになります。
以上がA2134アンプの設計になります。
実際に製作したアンプはどうかというと。。。
6N3PE-A2134-6X4シングルアンプ 回路図と実際の測定値
えーと。
のっけから、トロイダル電源トランスの出力電圧が低かったです。
電源平滑部の抵抗300Ω→150Ωにして、7VほどB電圧を上げましたが、
それでもまだ10V以上設計値よりも低いです。
ただし、設計電流値は充分出ているので、とりあえずこのB電圧168Vを正としました。
現在の所は、上記の状態でエージング中です。
本日のブログは以上です。
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