6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(4) ― 2011/04/21 00:50
引き続き、6R-HH2-PCL86シングル真空管アンプの設計です。
今回は、回路のゲイン配分と最大出力を確認します。
これを実施しておかないとNFBを掛けたら出力段バイアスをフルスイングできなくなった!という事が起こりがちです。
私自身、何度も経験しました。。。(汗
さて、初段の動作条件は、
プレート電圧83V、プレート電流2mA、バイアス-2V、
カソード抵抗1KΩ、負荷抵抗27KΩ、デカップリング抵抗12KΩ
でしたので、とりあえず、グラフが読みやすいように、
初段を±1Vスイングさせると、基準のバイアス-2Vを中心にして、
ロードライン上の、バイアス-1から-3Vまでスイングします。
その時の、電圧の変化量は、
ゼロバイアス側 → 83V-62V=21V
カットオフ側 → 100V-83V=17V
特性曲線の右下のバイアスの間隔が詰まっているので、カットオフ側【17V側】は、どん詰まりになって、このように歪む訳です。(←二次歪みの発生)
シングル二段増幅は、初段と出力段の位相が逆になるので、
このどん詰まりの【17V側】は、出力段のゼロバイアス側をスイングする事になります。(←コレ重要)
出力段のバイアスは、-5Vですので、
5Vを17Vで、割ると、5÷17V=0.294
まあなんと言いますか、アタマの中で仮に、NFBが掛かって初段のゲインが、0.294倍になった。とでも考えて下さい。
初段のゲインは変化しないのですけど、便宜上そう考えて下さい。。。(汗
それで、初段のゼロバイアス側【21V側】は、
21V×0.294=6.17V
となり、
NFBがかかって、初段のゲインが、0.294倍されたと想像すると。。。
出力段のゼロバイアス側は、17V×0.294 = 5V
出力段のカットオフ側は、 21V×0.294 = 6.17V
となって、初段をワザと歪ませると、出力段のバイアスを、カットオフ側に-6.17V。
つまり、1.17V分を余計に、オーバー・スイングしてくれる訳です。
カットオフ側のバイアスは、5V+6.17V=11.17Vまで振り込むので、
およそバイアスを-11.2Vまでスイングさせたとすると。。。
ゼロバイアス側のプレート電圧変化量ΔEpは、
155V-74V = 81V です。
それに対して、カットオフ側のプレート電圧変化量ΔEpは、
通常時 → 221V-155V = 66V
オーバースイング時 → 232V-155V = 77V
判りやすくする為に、それぞれの比を取ってみると、
通常時 → 81V : 66V = 1.23 : 1
オーバースイング時 → 81V : 77V = 1.05 : 1
プレート電圧変化量ΔEpの比率は、交流波形の上下の振幅の比率ですから、すなわち二次歪みです。
1.23 : 1 → 1.05 : 1 に改善された。という事になります。
1.05 : 1ですから、歪みが5%になった!というイメージでしょうか?
また、通常の最大出力は、
221V-74V=147V
147V÷2√2=52.0V
52.0^2÷7000Ω=0.39W
計算上の出力は、0.39W ですけど、
オーパースイング時の最大出力は、
232V-74V=158V
158V÷2√2=55.9V
55.9^2÷7000Ω=0.45W
と、なって、出力段の歪みと出力が改善されて、
最大出力は、0.45W となります。
これが、いわゆる
“ シングル二段増幅における二次歪みの打ち消しテクニック ”
です。
打ち消すと言うよりも、遊び電流を活用して設計動作点を超えて、オーバー・スイングさせる(振り込ませる)イメージが近い。と思うのですけど。。。
最初に仮定した初段入力電圧の、±1Vは、ピーク値ですから、
1V÷√2=0.71Vrms(実効値)
0.294倍のNFBは、おおよそ-10.6dBですので、
入力0.71Vrms、NFB-10.6dBで、
フルパワー0.45Wというアンプになるでしょうか?
実際には、NFBを-10dBも掛けません。
あまり掛けすぎると、高域補正や、厳密な時定数の検討(スタガリング)が必要になりますので、実際には-6dB前後にする予定です。
あくまで、NFBを掛けても出力段バイアスがフルスイングできるという事を確認する訳です。
アンプ設計のゲイン配分と最大出力の検討は、こんな感じです。。。(汗
非常に簡単な説明で恐縮ですが、ご理解頂けたでしょうか???
次回は、これまで設計した内容で回路図を書きます。
(次回につづく)


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