書籍『真空管ギターアンプの工作・原理・設計』を読んで、ステレオアンプを自作する場合のヒント2012/11/10 22:38

以前購入した『 真空管ギターアンプの工作・原理・設計 』の書籍をパラパラ読んでるんですけど。。。


書籍 真空管ギターアンプの工作・原理・設計
書籍 真空管ギターアンプの工作・原理・設計 


真空管ギターアンプの工作・原理・設計
http://www.amazon.co.jp/dp/489977317X


若松からキットが発売されているらしい。。。
http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=49160071&CATE=4916

“書籍付き”で、¥29,800とは、また思い切った価格設定です。
私は楽器をやらないので、“ギターアンプ”には興味はないのですけど。。。(汗



あと、この本はいちおうフェンダー Champ5F1 のギターアンプを自作する為の本ですけど、真空管アンプの設計の仕方について一通り解説してあるので、
この本を読んで“ピュアオーディオ用のステレオ・アンプ”を自作する事も出来ます。

ミクシィ日記にちょろっと書いたら、初心者の方から、『この本買いました。ぺるけさんの本より易しいですね 』というコメントを頂きました。


うーむ。


やっぱり、そうかもしれません。。。(汗

べるけ氏の『真空管アンプの素』は、私が読んでも、『うーん。なるほど!』と思うので、初心者にはちょっと“敷居が高い”ような気がします。

『真空管ギターアンプの工作・原理・設計』の本の方が、肩から力を抜いて気楽な感じでアンプ制作ができそうな気がしますし、真空管アンプを自作する場合のハードルが、いくぶん低いような気がします。個人的な印象ですけど。。。(汗


ただし、ギターアンプではなくて、ピュアオーディオ用のステレオ・アンプを作ろうとすると作例がないので、それはそれで苦労しそうです。


うーん。


それで、いろいろ考えて、真空管ギターアンプの工作・原理・設計の書籍をベースにした、ピュアオーディオ用のステレオ・アンプの作例をブログに書くかな???とか思いました。


ただし、テツさん現在、『人形モード』であまりアンプ製作のモチベーションがないので、完全な製作例というよりも、アンプを製作する場合のヒントというか、手掛かりというか、“叩き台(※注)の実験アンプ”みたいな雰囲気の記事になりそうです。


(※注)叩き台とは?
よりよい成案をめざして意見や批判によって練り上げてゆくための、もとになる案。試案。


。。。。。


とりあえず、お金をかけたくないので、パーツは手持ち部品で賄います。


ラジオ少年電源トランスT-3Vと春日無線出力トランス54B57
ラジオ少年電源トランスT-3Vと春日無線出力トランス54B57


まあ、トランス類はこれで良いとして、問題は真空管です。

そこで、初心者が真空管アンプを自作する場合の、使用する球についての条件を箇条書きにしてみました。


初心者が使用するのに良い球の条件

(1)傍熱三極管が望ましい。
(2)出力段の内部抵抗が低いこと。
(3)ヒーター容量が小さく、球がチンチンに熱くならないこと。
(4)安全のためにプレート電圧が低いこと。(200V以下)
(5)通販で購入出来て、ある程度在庫のある球であること。
(6)安価なこと。
(7)初段と出力段が独立していて、設計変更ができるのが良い。
(8)高効率でバイアスの浅い球(出力段バイアス-6V~-9Vくらい)


多極管の三結とか直熱管って、初心者には煩わしい気がします。
三極管なら内部抵抗が低いので、NFBも少なくて済みます。
ただし、6BX7/6BL7/6AS7G/6080/5998なんかのテレビ用垂直偏向管、レギュレータ管はチンチンに熱くなるので、初心者にはオススメしません。。。(汗

あと、PCL86/6BM8のような複合管もあまり初心者にはオススメしません。真空管アンプの設計は、初段の球を12AX7→12AT7に変更するとか部分的に改造することで徐々に覚えていくモノなので(経験者談)、初段と出力段が独立していて、後で部分的な設計変更ができるアンプの方が、学習していくには都合が良いです。三栄無線のキットなんかはそうでした。

アンプを一台だけ、とりあえず製作するだけでしたら、PCL86/6BM8のような複合管は便利なんですけど、その後は部分的な改造できません。

また、高効率でバイアスの浅い(-6V~-9Vくらい?)球ですとドライブしやすいですし、なによりもカソード帰還がよく掛かって簡単に実用になるアンプを製作できるので良いと思います。


そんな訳で。。。。。

なかなか条件が厳しいっす。。。(汗

特に、通販で購入できる球ってトコロが難しい。。。

それで、いろいろ考えて、バンテックで取り扱ってる“6463”にしました。

バンテック ( http://www.soundparts.jp/index.htm )
http://www.soundparts.jp/electrontubes/voltagetubes/6463/6463.htm

ギターアンプを作る人は、バンテックやギャレットで通販すると思うし。。。


バンテックで取り扱ってる“6463”
(右)バンテックで取り扱ってる“6463” 
(左)GEの管壁プリントがついた6463/6350


紆余曲折、いろいろ検討して回路図書きました。


12AX7-6463Parallel-6203 Single Ended Amplifier (Tube Headphone Amplifier) testing circuit 回路図
12AX7-6463Parallel-6203 Single Ended Amplifier (Tube Headphone Amplifier) testing circuit 回路図

プレート電圧198V、プレート電流26mAの動作点で、計算出力1W出ました!


あとは、このアンプを実際に製作すればいいんですけど、ぶっちゃけ、あまり気が進みません。

上記の回路は、ホント初心者には良いと思います。ていうか、そのように設計しました。。。(汗

けど、ある程度、真空管アンプを製作してる人間からすると、ちょっと物足りないのも事実。

えーと。

三極管ってクラシック聴くには良いんですけど、私はジャズ聴くんで、こってりしたエロい音の方が好みなんですよね、実は。


そこで、別な球でも設計しました。

ただし、こちらの球は初心者の方にはオススメしません。


ブライマー6CH6(CV4055)
ブライマー6CH6(CV4055)

12AX7-6CH6-EZ80 Single Ended Amplifier (Tube Headphone Amplifier) testing circuit 回路図
12AX7-6CH6-EZ80 Single Ended Amplifier (Tube Headphone Amplifier) testing circuit 回路図


出力トランスの一次側を入れ替えて30%UL接続にしてカソード帰還を掛けているという、ちょっと初心者には謎な回路で、使用している電源トランスが、現在販売していないモデル(旧品種)ですし、6CH6の真空管もあまり入手性の良い球ではありません。

なによりも、電源部分の電圧が300V近く出ているので、安全上危ないような気がします。もっとも、ギターアンプでは普通なんですけど。。。(汗


ラジオ少年電源トランスT-3V (旧品種) 現在は250Vタップ廃止になっています!  
ラジオ少年電源トランスT-3V (旧品種) 現在は250Vタップ廃止になっています!
 
ですから、大変自作しにくいので6CH6アンプは、初心者にはオススメしません。

テツさん自身の、“叩き台の実験アンプ”みたいな雰囲気のアンプです。すみません。。。(汗



次回以降は、64636CH6アンプの回路設計(三結特性図)の説明を簡単にする予定です。


(次回以降につづく)