6DJ8-89Yシングル真空管アンプ2012/03/17 15:57

前回の記事で書いたとおり、ST管で真空管アンプを作ろうと思います。

なるべく安価な球を使用したいので、今回はトップグリッド真空管であるところの89Y、あるいは38にする事にしました。

とりあえず、6DJ8を初段にした89Yシングルアンプを設計していきます。


真空管 89Y


それで真空管アンプを設計する際に使用する三結特性図(Ep-Ip図)ですけど、今回の89Y/38アンプでは、高間欣也氏が手作りアンプの会のサーバーで公開しているところの『 Ep-IpCurveデータ集 』を使用させて頂きました。

高間さまの『 Ep-IpCurveデータ集 』
http://www.tezukuri-amp.org/bunkakai/sokutei/Ep-IpCurve/Ep-IpCurve.html

89Y/38は、以前よりアンプを製作したいと思っていたのですが、三結特性図がないためにとても難儀していたのですけど、高間さまの『Ep-IpCurveデータ集』には、その辺のマイナー球の三結特性はもちろんの事、膨大な数の真空管実測特性が掲載されているので大変素晴らしいデータ資料だと思います。

この度、89Y/38のデータを使用させて頂きました。
この場を借りてお礼を申し上げておきます。ありがとうございました!


38の三結特性図
http://www.tezukuri-amp.org/bunkakai/sokutei/Ep-IpCurve/pdfs/38.pdf

89の三結特性図
http://www.tezukuri-amp.org/bunkakai/sokutei/Ep-IpCurve/pdfs/89.pdf


なお、フランクHPにある資料ですと、89Y三結時は代表特性のみですし、38に至っては、三結時のデータはありません。。。(汗

http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/021/3/38.pdf
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/021/8/89.pdf



そんな訳で、高間さまの『 Ep-IpCurveデータ集 』を使用して、89Yシングルのロードラインの検討を行っていきます。




【出力段】の設計


OUT41-357出力トランスの許容電流は、20mAです。

出力トランスの許容電流が20mAですから球のバラツキを考慮して、
回路に流すプレート電流は17mAくらいとしました。


また以前製作した1626アンプの初段6DJ8の動作条件を参照すると、
http://valvolerosso.asablo.jp/blog/2011/10/30/6177752
片側ピークで50Vpeak(100Vp-p)くらいはゲインが取れそうです。

-6dBのNFBを掛けると想定しておくと、-6dBは0.5倍ですので、

50V×0.5= 25V

従って、-6dBのNFBを掛けたとしても、出力段89Yイアスを-25Vあたりまではスイングできそうだなと予想します。

以上の事から、89Y三結特性図にプレート電流17mAのラインを引いて、バイアス-25Vあたりのバイアス線の交点を探してみます。

特性図の目盛りがおおざっぱでプレート電圧が判りにくいですけど、
とりあえず、バイアス-25V、プレート電流17mAの交点をプロットしてみます。交点はおおよそプレート電圧168Vくらいのようです。


89Yの動作点内部抵抗は3.5KΩくらいですので、その2倍は7KΩですので、7KΩのロードラインを引いてみます。


89Y 三結特性図 ロードライン検討 


上記のロードラインと、ゼロバイアス線との交点のプレート電流は、およそ29mAくらいなので、その1/2は、14.5mAですので、どうやら
電力効率最大の動作点よりも若干プレート電流が多い動作点のようです。

けど、これ以上バイアスは深くできませんし、電力効率最大の動作点よりもプレート電流を多く取ると出力は減りますけど二次歪みは改善されますので、とりあえずこの動作点に決定しました。


従って、動作基準点は、

プレート電圧168V、プレート電流17mA、バイアス-25V、負荷7KΩ、カソード抵抗1.5KΩ

とします。



さて、出力段の動作点が決定したら、後は【B電圧】を求めます。

プレート電圧168Vにバイアス電圧25Vを加えた、
対アース電圧のプレート電圧193Vに、
出力トランス直流抵抗(DCR)電圧降下分を、さらに加えたものが、
【B電圧】です。

春日製OUT41-357の出力トランス一次側/直流抵抗(DCR)は、
330Ωですので、電圧降下は、

(プレート電流)0.017A×(DCR)330Ω = 約5.6V

193V+5.6V= 198.6

これが、いわゆる【B電圧】で、これを求めないと設計できないという、
回路のキモです。


【初段】の設計

 
B電圧が求まりましたので、次は初段の6DJ8の設計です。

とは言っても、以前製作したNEW1626アンプの初段6DJ8の動作条件を参照して動作点はほぼ一緒です。


89Yシングル用 6DJ8初段ロードライン 


プレート電圧99V、プレート電流2.5mA、バイアス-3V、
カソード抵抗1.2KΩ、負荷抵抗33KΩ、デカップリング抵抗5.6KΩ


入力電圧を、2Vpeak(=1.41Vrms)に想定していますので、かなり強引な設計です。
6DJ8で、なんとかゲインを取ろうという苦労が偲ばれます。。。(汗
まあ、6DJ8でドライブするのですから、このあたりはしょうがないです。



【電源平滑部】の設計


まず、電源トランスの出力電圧を予想します。

出力電圧については、書籍『情熱の真空管』 P.111に書いてあります。
今回の回路ですと1.35倍と仮定して、

170V×1.35 = 229.5V  約230


また、これまでの設計から、

出力段 17mA×2 = 34mA
初段 2.5mA×2 = 5mA
270KΩのブリーダーとすれば、0.73mA

とすると、回路に流れる総電流は、合計39.7mAです。


出力電圧230Vから、【B電圧】198.6を引いて、
回路の総電流39.7mAで割れば電源平滑部の抵抗値が求まります。

(230V-198.6V)/0.0397A = 790.9Ω

790.9Ω÷4 = 198Ω
 
よって、電源部の抵抗は、200Ω3W を4個、使用します。



以上のような経緯で、6DJ8-89Yシングルアンプを設計しました。
計算上の出力は、およそ0.41Wでした。


通常、89Y38では、89Yの方が出力が取れるので、私も今回は89Yで製作しようと考えていたのですが、38の方もプレート電圧をアップさせて、Ep=200Vくらいにすれば、0.42Wくらいは出るようです。

つまり、

89Y三結 → Ep=170Vくらいで、出力0.41W
38三結  → Ep=200Vくらいで、出力0.42W

みたいな雰囲気でしょうか???

もちろん、プレート電圧とプレート電流を増やせば、もっと出力取れますけど、トランス類が大げさになってアンプ規模がかなり大規模で仰々しい感じになってしまいます。。。(汗

ミニアンプにする為に、出力をわざと落としています。すみません。。。


最初の心づもりでは、やっぱり89Yでアンプを作るつもりでしけど、ロードラインを検討していたら、38の方もなかなか面白いです。

今現在の感じですと、38でシングルアンプを作る事になりそうです。


真空管 38


次回は、6N2PEV-38シングル真空管アンプの予定です。


(次回につづく)


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