6RHH2-PCL86~1万円真空管アンプ(1)2011/04/17 14:55

初心者のために、真空管アンプ設計のロードラインの引き方を解説していこうと思います。

いちおう、真空管アンプキットラ技/MJ等の回路を製作した事があるけど、ロードラインを引いてオリジナルのアンプを製作するまでにはいかない。
というレベルを想定しています。

春日無線の店頭で雑談していると、『けっこう沢山の人がロードライン引けなくて、みんなそこで引っかかるんだよね。』みたいな事をよく聞くので、
ロードラインの引き方について、簡単に説明しようと思います。

真空管特性図三定数(gm、μ、rp)等が判らない人は、
木村哲著 情熱の真空管アンプ 等の書籍で、まずは自習してください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4534037406

さすがに、ブログで最初から説明するのは無理です。。。(汗

ちなみに、上記の内容はネット上でも公開されていますけど、
http://www.op316.com/tubes/tips/tips0.htm
書籍を購入すれば印税が著者に入るので、著者に敬意を表して書籍を購入した方が良いのでは?とか個人的には思います。
ネット上のマニュアルを読んで、内容に納得したら書籍を購入する。
みたいな感じでしょうか???

まあ、そのあたりの判断は各自の自由です。。。(汗


さて、早速、本題に入りますが。。。


出力は0.5W弱くらいで、主にヘッドフォン使用を想定して高能率のユニットならスピーカーにも出力できる!みたいな安価なミニアンプを設計しようと思います。

出力段のPCL86ですけど、五極部のみ使用して三極部は使用しません。三極部は12AX7相当ですので内部抵抗が大きいので。。。

欧州系五極管が、一本450円で売っている!と、脳内に補正をかけて、
内部抵抗の低いカスコード管やコンピューター球でドライブします。
もちろん、6DJ8あたりでも可です。
もともと、PCL86の五極部は感度が高いので、μ30くらいで充分ドライブできます。

余った12AX7相当の三極部は、真空管抵抗負荷(SRPP)とか、
NFB素子の代用とか、各自で考えてみると面白いかもしれません。




いっぽう、初段で使用する真空管ですが、出力段で二次歪みの打ち消しをする予定なので直線性の悪い球である 6414 や、6R-HH2 を想定しました。

KA-10SHヘッドフォンアンプの差し替え用に、6R-HH2 を持ってる人がいるかと思うので、6R-HH2 を採用する事にしました。

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それで、実際に6R-HH2を使用してアンプを設計する訳ですけど、
問題は6R-HH2の特性図です。。。(汗

ネット上に6R-HH2を初段に採用した作例があまりないんですけど、理由は、たぶん6R-HH2の特性図がないからだと思います。



通常、真空管アンプを設計する場合、フランクHPから特性図をダウンロードするんですけど、6R-HH2は日本独自の球なので、フランクHPにないんですよね。。。(汗

あっても、こんな(↓)資料なので、
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/084/6/6R-HH2.pdf
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/133/6/6R-HH2.pdf

これでは、ロードラインが引けません。。。(汗

それで、ネット上でググッてみると、なんとか特性図はあるのですが。。。

いとしの真空管たち サイト様
http://www13.ocn.ne.jp/~mvm1/newpage383.html

うーーーーん。
グリッド・プラス領域がしっかり記入されてて、
この平均プレート特性図でロードラインを引くのはちょっと厳しいです。



なんか代用で使用できそうなプレート特性図はないかと、
6BQ7、6BZ7、6BC8、とか、近似球をいろいろ探してみました。

それで、4BC8が、一番近似しているような気がしました。
http://www.mif.pg.gda.pl/homepages/frank/sheets/127/4/4BC8.pdf


前出の平均プレート特性図から読みとった値を、4BC8特性図にプロットしてみた所、6R-HH2の方がgmが大きいせいかプレート電流が増えると、ズレが大きくなります。

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けれども、プレート電流が2~3mAの少ない部分では、ほとんどバイアス線が一致しているので、初段の設計には代用できそうです。

結局、4BC8プレート特性図を代用して、初段6R-HH2の設計をする事にしました。



あと、電源トランスと出力トランスは、過去の記事で書いた、
ラジオ少年BT-2Vと、春日無線OUT41-357Sを使用します。

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出力トランスOUT41-357Sの店頭販売価格が?なんですけど、
とりあえず、通常品と同じと仮定して、(おい)
ざっくりと、コストを計算したら、球なしで一万円くらいでした。

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次回は、動作点のロードラインの説明をしようと思います。

(次回につづく)