6414-PCL86ロードラインの引き方(7)2011/04/16 13:30

7回連続で掲載した6414-PCL86シングルも、今回が最終回です。

6414-PCL86(五極部のみ使用)シングルアンプは、

低内部抵抗
のカスコード管やコンピューター管で、PCL86の五極部をドライブしよう!

というのがコンセプトでしたけど、それじゃあ実際に、6414でドライブした効果はどうなのか?という事を書きたいと思います。


それにはまず、12AX7でドライブした場合の出力インピーダンスと、
PCL86を三結にした場合の入力容量を調べなければなりません。。。(汗



初段の出力インピーダンスと、高域カットオフ周波数の計算式は、
書籍『情熱の真空管』の、P.342に書いてあります。

 (Zo)= (rp×RL)/(rp+RL)

f4(kHz)=159000/[Zo(kΩ)×Cinput(pF)]

さらに、PCL86五極部を三結にした場合の入力容量は、
ぺるけ氏のHPによると90pF位らしいです。
http://www.op316.com/tubes/mw/mw-gw8.htm

あと、上記のぺるけ氏のサイトには、12AX7でドライブした場合の
高域カットオフの値も書いてあるので、それを参照させて頂きます。

12AX7でドライブした場合 → 約40 KHz (-3dB)


さて、6414でドライブした場合ですけど、

6414での内部抵抗 → 18KΩ
負荷27KΩで、次段グリッド抵抗470KΩの場合の、
合成交流負荷 → 25.5KΩ

ですから、上記の出力インピーダンス算出式に代入すると、

 (Zo)=(18×25.5)/(18+25.5)=10.6KΩ

6414で負荷27KΩの場合の出力インピーダンス → 10.6KΩ

従って、高域カットオフ周波数f4(kHz)は、

f4(kHz)=159000/[10.6(kΩ)×90(pF)]=167kHz

6414でドライブした場合 → 167 KHz (-3dB)

となります。

40kHz167kHzですので、4倍になったというところでしょうか?
単純に考えれば、初段の出力インピーダンスが1/4倍になったので、
高域カットオフ周波数が4倍になった!
というイメージでしょうか。。。


だがしかし。。。


高域の周波数が広くなった!やっぱ12AX7でドライブするのダメじゃん。
とか、単純に言ってはイケマセン。

高域周波数を伸ばすと、ピークが出たり高域発振したりする可能性があるので、負帰還を掛けないアンプの裸特性は不安定になります。
裸特性が不安定ですので、多量の負帰還は掛けられませんし、
掛ける場合は、高域補正回路を追加する必要があるかもしれません。

12AX7を初段に使用するのはワザと高域をカットして、不安定要素になるかもしれない高周波域を排除し、アンプの裸特性を安定化させる目的があります。
アンプの裸特性が安定していれば、多量の負帰還が掛けられます。
ひと昔前の、真空管アンプの設計思想はそうでした。

カスコード球が珍重される現在はアンプの裸特性で高域を伸ばして、
負帰還は少量にする。という設計思想が主流のようです。




ですから、真空管アンプの設計をどのようにするかという『 設計思想 』の問題なので、一概に良い悪いと言えません。
どちらにも、一長一短があります。。。(汗

例えるなら、クルマのエンジン配置みたいなモノで、
FFとミッドシップのどちらか良いか議論するようなものでしょうか?
運動性能は、明らかにミッドシップのエンジンマウントの方が良いのかもしれませんが、町中を走っているクルマは、ほとんどFF車です。
室内空間を広く取れるFF車の方が、利便性はやっぱり良いと思います。


まあ、なんと言いますか、そんなようなイメージで、なんだかんだ言って、12AX7はゲインが取れるので利便性が良いです。
ずっと昔から、オーディオ球の第一線で使用されてきた球ですので、
実績がありますし、初心者にも使い易い球なのではないでしょうか?


そんな訳で、PCL86の三極部(12AX7相当)を、そのまま普通に使用するのも、もちろん有りだと私は考えています。

現に、私は、三極部をそのまま普通に使用したPCL86アンプも製作しています。
春日無線から、黒カバー/リード出しのKmB90Tが発売された時に、
早速、製作しました。。。(汗


PCL86シングル (ヘッドフォン/スピーカー出力両用)
アルター けいおん! 中野梓 (以前掲載したものとは別カット)
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出力段PCL86の五極部の動作は、今回の6414-PCL86アンプと同じですが、いちおう自分なりに創意工夫しています。

初段を独立電源にして、デカップリング回路を左右別にしています。

クリックで拡大

負荷抵抗に英国ウエルウイン・カーボンを使用しているのは、ご愛敬。(汗


何台もアンプを製作した事を考えると、やっぱりPCL86の音は良いかもしれません。。。(汗
私個人は、とても好きです。(^O^)


そんな訳で、初段に何を使用しようと、やっぱり、
EL3をご先祖に持つ、PCL86の五極部の音は良いぞ!
という事で、今回の記事を締めたいと思います。

長い記事にお付き合い頂きありがとうございました。


次回は、なんか安価なアンプを製作しようかな?と思っているので、
6R-HH2ドライブPCL86(五極部のみ使用)/製作費一万円アンプ
でも設計しようかな?と思っています。

PCL86のネタは、まだまだ続きます。

(次回につづく)



。。。。。



(おまけ)


お好きな方だけ、ご覧になってください。
以前掲載した写真とは、別カットの写真です。

6414-PCL86(五極部のみ使用)シングル (ヘッドフォン/スピーカー)
コトブキヤ ゼロの使い魔 ルイズ
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6414-PCL86(五極部のみ使用)シングル (ヘッドフォン/スピーカー)
コトブキヤ 夜明け前より瑠璃色な エステル・フリージア
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写真もいろいろ撮っているので、やっぱ好きかも、PCL86。。。(汗



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